洗浄機から漏えいした有機溶剤で中毒 冷却装置などの点検をしていなかった
災害の発生状況
この災害が発生した事業場は、回転砥石等の各種研削機を製造しています。回転砥石には、アルミニウムの基板に研磨剤を固定して製造するタイプがあり、災害は、その基板を加工・洗浄する工程で発生しました。
洗浄機工程で用いられる洗浄機は、かごに入れた材料を、洗浄剤(トリクロロエタン)を用いて自動で洗浄するものです。
この機械は洗浄槽・蒸気槽・冷却配管から成り、洗浄機内には約1000Lの洗浄剤が入ります。作業はA,B,Cの3人が1グループになって行いました。
被災者Aはこの部屋でCNC旋盤を使用してアルミニウム素材の加工作業を行っていましたが、午後の作業に入ってしばらくして、周囲に有機溶剤のにおいが漂い出しました。周りを見回すと、においは洗浄機から流れてくるようでしたが、被災者Aはそのまま旋盤の操作をしていました。また、Bは他の用件があり、その作業場にはいませんでした。そのころ、洗浄機の担当者Cも洗浄剤のにおいが漏れ出したことに気付き、上司を通じて機械保全担当者に点検を依頼しました。その後、Cは付近の窓を開け、すぐに作業室から通路の向かいの扉のある室に避難しました。
一方、有機溶剤の臭いがさらに強くなってきたと被災者Aが感じたとき、どこからか避難するよう注意する声が聞こえましたが、あたりを見回すと、BもCも見当たらなかったため、被災者AはCNC旋盤の操作のプログラムを行ってから避難しようと考えましたが、そのころから気分が悪くなってきました。
CNC旋盤のプログラムをセットし、通路を約30m走って避難したところで具合が悪くなり座り込んでしまいました。被災者Aは2日間自宅で休養し職場に復帰しました。
災害の原因
(1)冷却配管系が…
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