労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2024.04.25 【判決日:2023.02.08】
社会福祉法人紫雲会事件(宇都宮地判令5・2・8)嘱託再雇用後も職務の内容変わらず賞与なし? 定年理由に差別的扱い否定 NEW
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  • 賃金
  • 賞与

 定年後の嘱託職員への期末・勤勉手当の不支給について、宇都宮地裁は、差別的な取扱いに当たらないと判示。正規職員との労働条件の相違は、有期契約を理由としたものではなく、定年後再雇用が理由とした。定年前後で職務の内容等は同じだが、基本給を定年時の8割としたことを踏まえ、不支給は不合理ともいえないとした。休暇を与えなかった点には損害賠償を命じた……[続きを読む]

2024.04.18 【判決日:2023.06.09】
社会福祉法人A会事件(千葉地判令5・6・9) 泊まり勤務で福祉施設に夜間常駐し残業代請求 夜勤手当のみ割増算定基礎
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  • 割増賃金
  • 賃金

 グループホームの生活支援員が、夜勤の泊まり勤務は労働時間に当たるとして割増賃金を求めた。千葉地裁は、実作業に従事していない時間を含め労働時間としたうえ、泊まり勤務で支給される夜勤手当のみを割増賃金の計算基礎とした。夜勤は日中と比べて労働密度が薄く、就業規則や労働契約で同手当を支給するとしていたことから、労基法37条の趣旨に反しないとした……[続きを読む]

2024.04.11 【判決日:2023.09.26】
国・岡山労基署長事件(福岡高判令5・9・26) 過重労働といえず脳出血の発症が“業務外”に? 連続勤務で休息少なく労災
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  • 労災
  • 業務上・外認定

 脳出血で死亡した労働者の遺族が、労災不支給処分の取消しを求めた事案の控訴審。発症前半年間の残業時間数を平均76時間とした一審に対して、福岡高裁は81時間と認定。始業終業時刻や休憩時間を認定し直した。10日を超える連続勤務を繰り返しており、勤務間インターバルの状況から、業務上災害とした。血圧値は業務起因性を否定する危険因子とまではいえない……[続きを読む]

2024.04.04 【判決日:2023.03.27】
A社事件(東京地判令5・3・27) 雇止めされた国際線乗務員が無期化したと主張 人事管理行う国の法律適用
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  • 労働契約

 オランダの航空会社から雇止めされた日本人客室乗務員が、オランダ法の適用を主張してすでに無期転換済みと訴えた。雇用契約書で日本法を準拠法としていたが、東京地裁は、オランダ法に基づき地位確認等を認めた。労務提供地を特定できず、雇入れ事業所地の法が適用されると推定したうえ、国外で指揮命令や人事評価など人事管理の中核的な業務を行っていたことを重……[続きを読む]

2024.03.28 【判決日:2023.03.09】
中倉陸運事件(京都地判令5・3・9) 退職勧奨は障害者差別と主張して地位確認請求 通院治療のみ理由で慰謝料
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  • 病気
  • 解雇
  • 退職
  • 退職願

 退職勧奨に応じたドライバーが、精神障害が理由の差別等に当たり違法無効と主張して地位確認等を求めた。入社時の健診結果には、うつ病のほか糖尿病等が記載されていた。京都地裁は、退職勧奨は通院、服薬治療のみを理由に行われ、医師の知見を得るなど業務に与える影響を検討していないと判断。障害者への適切な配慮を欠き不法行為とした。合意解約は有効としてい……[続きを読む]

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