【今週の労務書】『実務家のための労務相談(民法で読みとく)』
2021.01.30
【書評】
必要な条文取り出し解説
労働問題を解決に導こうとするとき、まず当たるべき規範は労働法だ。しかし、労働法は企業が直面する労働問題のうち、ごく一部にしか規定を設けていない。たとえば、採用内定、試用期間、昇進・昇格、業務命令などは関係する規定がない。したがって、多くのケースでは民法の規定を使い、解決を図っている。
本書は労働問題に携わる実務家にとって必要な民法の条文を取り出し、判例を交えながらQ&A方式で解説している。構成は条文番号どおりになっており、通読すれば民法全体の理解が可能だ。
昨年4月施行の改正民法に対応している点もうれしい。一から学びたい人はもちろん、改正前の知識のままで、まだアップデートが済んでいない人にもおすすめ。
(野田進、鹿野菜穂子、吉永一行編、有斐閣刊、TEL:03-3264-1314、3300円+税)
令和3年2月1日第3291号16面 掲載