【今週の労務書】『評価をしない評価制度』
2021.02.06
【書評】
在宅勤務対応のヒントに
本書が提唱する手法は、評価の代わりに社員へ日々の行動の記録(=求められる行動をとったか否か)を求める。上司は評価・採点しないので、査定昇給は行わない。上司の負担は減るし、個人差も付かないから部下の不満もなくなる――と著者は主張する。行動分析学の理論に依って、良い結果をもたらした行動は自ずと繰り返されると説く。部下の行動が視認できない在宅勤務への対応を考える際には、ヒントになろう。
併用すべき制度として、独特の役割等級、賃金制度も紹介している。査定昇給はないが等級間で自動的に昇給格差が付くため、昇格運用にかかるインパクトが大きい。他方で管理職とリーダー層には、会社の業績次第で一律の降給もあり得る仕組みとしている。
(榎本あつし著、アニモ出版刊、TEL:03-5206-8505、2000円+税)
令和3年2月8日第3292号16面 掲載