追い出し部屋
得意分野を生かせば、上手くいくんだ!
勉強になるわね~
それはいいが、なんかこれ、
単なる酒池肉林になってないか。
解 説
いわゆる「追い出し部屋」への配置転換がテーマとなっています。使用者の配転命令には、勤務場所の変更を伴う転勤と、従事する業務の変更である配置換えの双方が含まれると解されています。職種が限定されているかどうか、就業規則等の根拠規定に基づき配転命令権が正しく行使されているか、がポイントです。
機械工の経験、経歴、技能等を考慮することなく配置換えした事案で、職種限定の合意はなく、労働力配置の効率化および企業運営の円滑化等の見地からやむを得なかったとの理由で職種変更の権限行使を有効と認めたものとして日産自動車村山工場事件(最一小判平元・12・7)がある一方で、転勤を伴うものについて、業務上の必要性がない場合または業務上の必要性がある場合であっても、他の不当な動機・目的から転勤命令がなされたとき、もしくは転勤命令が労働者に対し通常受け入れるべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときには、当該転勤命令は権利の濫用になることがあります(労働契約法3条5項、東亜ペイント事件、最二小判昭61・7・14)。
最近の紙面では、営業から倉庫業務への配転は、退職に追い込むための不当な動機・目的による嫌がらせで配転を無効として慰謝料50万円を認容したもの(親和産業事件、大阪高判平25・4・25、本紙2961号)をご紹介しました。
ちなみに、育児・介護を行う労働者の配転を行う場合には、子の養育や家族の介護の状況に配慮しなければならない(法26条)としていますが、これは、「場所的に離れた就業の場所への配置の変更をいうものであり、同一事業所内で別の業務に配置換えすることは含まれない」(平28・8・2雇児発0802第3号)と解されています。
※マンガは労働新聞平成25年4月22日第2918号12面「人事学望見 第908回 職務が全く違う配置転換命令 限定的特約なければ応じるべき」をヒントに描いたものです。詳細は労働新聞読者専用サイトにてご覧ください。