【ひのみやぐら】5Sから始まる職場づくり
何か事を始めるとき、頭や心が整った状態でなければ上手くはいかない。仕事をするときも同じだ。とくにものづくりの現場では、整理・整頓・清掃・清潔・躾といった5Sができていなければ、よい商品を作ることはできない。
前号、特集2の「新入社員のための安全衛生教育」では新人にまず、知ってほしい活動のひとつとして、5Sを挙げた。改めていうほどではないが、生産や効率を上げたいのであれば職場は美しくなければならない。逆に何がどこに置いてあるのか分からなく、うす汚れた職場ではよい商品を作るどころか、危険の芽を生む温床になるのである。
具体的なことをいえば、作業場に使わない物がたくさんあったり、雑然と物が置かれていたらスペースがなくなる。当然、作業しにくく、能率が上がらない。職場が散らかっていれば、探すことで余計な時間が取られるし、圧迫感も生む。何より、気持ちよく働くことができない。
さらに、危険箇所の発見に鈍感となり、設備や機械の危険な状態を見過ごしてしまうこととなるだろう。これらの要因は、職場の人間関係にも影響を及ぼしかねない。遂には不満は顧客にまで到達して、会社の信用を損なうといった事態も想定できる。5Sは安全衛生活動の重要な柱であるということを、新入社員のうちからしっかりと理解をさせていきたい。
一方、5S活動の大切さを認識し、生産活動のベースとしているのが今号特集1で紹介するIHI航空宇宙事業本部相馬第二工場だ。2年前に「工場一丸!5S活動」を掲げ5S活動を刷新。職場対抗で優秀な5S活動を表彰する「イチオシ総選挙」や、職場ごとに活動の旗振り役となる5Sリーダーの専任、レゴブロックを使って整理の仕方を考えさせるユニークな演習などアイデアあふれる取組みを推進している。職場には全員参加の意識が高まり、改善活動につながっているという。
5Sは安全衛生の第一歩であるとともに、生産・品質も含めてすべての基本。安全で快適な職場づくりは5S活動から始まる。