働き続けることの大切さ/社労士オフィスいぶき 仙田 里紗
社会人になりたての頃は、社会保険料の控除額をみてはがっかりしていた。そんな私が、育休を取ったことで社会保険に興味を持ち、社労士になったのには自分でも驚く。
しかし、社会保険料は会社にとっても相当な負担である。社労士の提案は会社にとってコストが掛かったり足かせになるのでは、とマイナスイメージを持っていた。これは、「それって利益が出るの?」が口癖の税理士である夫の影響、そして、私が経営側の事情に疎かったことが原因にあったと思う。
AI、人事労務ソフト等の台頭で、1、2号業務はなくなると騒がれていたが、だめでもともと、と目の前の小さな仕事から始めた。仕事と家事で分刻みの毎日、夜はへとへとになる。しかし、不思議とむしろ充実していた。
給与計算や手続き業務。たとえ小さな仕事でも、とても大切な仕事だと気付いた。そして、徐々に会社の内情がみえてきた。忙しい、人手不足など理由は様ざまだが、賃金制度・残業代計算、従業員の定着、法改正など、中小企業の事業主がいかに多くの人事労務課題に一人で対処しているかを知った。そして、社労士という枠にとらわれず、求められることに応えていこう、と思っていた矢先、新型コロナの波が来て、世の中は一変した。
ただ、目の前には変わらないものがあった。頼ってくれるお客さん、仕事の存在、家族・子供たちの笑顔。このお陰で平常心でいられた。よく考えたら、当たり前のことなどないのだ。それがあったことに感謝をしなければならなかった。
そういえば、人生には、結婚、出産、子育て、介護、病気といった出来事がほぼ誰でもあるにもかかわらず、その都度戸惑い、離職してしまうことも多い。
しかしコロナ禍の今、仕事から得られる安心感、生きがいがどれほど大切か。身をもって感じることができた。様ざまな出来事があっても、従業員たちが乗り越えながら働くことのできる環境づくり、これはおそらく今後必要不可欠だろうと思う。
2030年、日本は3人に1人が65歳以上の高齢者になるといわれている。
働き手の不足、税・保険料の負担額の増大、貧富の格差拡大、治安の悪化など、問題山積の社会がほぼ確実に来るらしい。
どの会社のどの従業員にも、大切な人と一緒に笑顔で過ごせる毎日がありますように。この未来の荒波に挑む会社を陰で支える縁の下の力持ちに少しでもなりたい、と願う。
社労士オフィスいぶき 仙田 里紗【愛知】
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