【今週の労務書】『民主主義のための社会保障』

2021.04.03 【書評】
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労働政策との関連も解説

 厚生労働省の年金局長などを務めた著者が、公的年金、医療・介護、家族支援(少子化対策)について、制度の抱える問題点や、それを克服するための各種施策の趣旨などを解説したのが本書である。

 たとえば、年金の被保険者数や平均寿命の伸びなどで年金額を調整するマクロ経済スライドの発動は、年金の持続可能性のためには不可避とした。一方、期間短縮に向け、厚生年金の短時間労働者への適用拡大や75歳までの支給繰下げの選択拡充が設けられたとし、労働政策との結び付きを平易な説明で明らかにしている。

 社会保障の役割を弱者救済だけではなく、社会の中核を担う中間層が、個人で対処不能なリスクから守る「防貧」に焦点を当てているのも本書の特徴といえる。

(香取照幸著、東洋経済新報社刊、TEL:03‐6386‐1040、1800円+税)

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令和3年4月12日第3300号16面 掲載
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