動画配信で広く支援/社労士事務所HIKARI 所長 川浪 宏
新型コロナは雇用問題に大きく影響を与えた。政府は様ざまな支援策を打ち出したが、その支援策は多岐にわたり、隅々にまで周知が行きわたるのが困難であったのもやむ得ないものであったかもしれない。
我われ社会保険労務士が携わる雇用に関する助成金も、同様に隅々にまで周知が行きわたるのが困難な状況であった。雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金、小学校休業等対応助成金、休業支援金・給付金制度など様ざまな制度が創設や改定をされた。
私は、日本の西の端、熊本県で開業する社会保険労務士で開業14年目、職員を10人程度抱えている。新型コロナの影響で企業業績が悪化し出した頃から顧問先からの相談が相次ぐようになり、通常業務に大きく影響が出るようになった。
新型コロナは地方の中小零細企業にまで影響を与えており、様ざまな紹介者を通じて、雇調金の相談が相次ぐ事態となった。事務所の代表として、業務量をコントロールし顧問先に迷惑をかけない体制構築が求められる一方で、社会保険労務士として「多くの中小零細企業とそこに働く労働者のために何かできることはないのか」と思い悩んだ。
そこで思い付いたのが、YouTubeを活用した情報発信であった。コロナ禍前より、顧問先へ働き方改革の内容を分かりやすく伝える手段の一つとして配信を始めていたが、編集方針を変更し、雇調金を始めとする新型コロナ関連情報を公開するようにした。顧問先向けに細々と公開していたYouTubeなので、情報内容を変えたからといって急に視聴者が増えることはなかったが、リアルな日常では相変わらず様ざまな紹介者を通じた雇調金の相談が増加する一方だったので、ネットの向こう側にも情報を待っている人は大勢いると信じて、1本、1本と制作公開を継続していった。
その結果、雇調金関連の動画公開は32本に上った。動画は稚拙なものであったが、視聴回数は計23万回、視聴総時間は2万5855時間(2.72年に相当)だった。この数字は、いわゆるYouTuberとは比較するべくもないが、「顧問先以外にも何かの役に立てないか」という点については、一定の効果があったのではないだろうか。
新型コロナを契機として、ネットを活用した交流が増加することは異論がないと思われる。リモート会議、テレワーク等が一気に普及拡大したのはその証左だといえ、時代に取り残されないよう今後ますますネット活用に取り組んでいきたい。
社労士事務所HIKARI 所長 川浪 宏【熊本】
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