【今週の労務書】『仕事と介護の両立』
2021.04.10
【書評】
“過度な関与”に一石
筆者が繰り返し説く介護と仕事の両立支援対策のポイントは「育児と同じ発想をしない」。乳幼児には一切の世話が必要となるが、大人を相手とする介護においては必ずしも付きっきりのケアが必要ではないからだ。離職を防ぐには、ケアに専念するための長期的な休業制度よりも、介護休業の分割などによる「仕事を離れる時間を短くして介護に対応できるようにするための支援」の方が良いとした。
介護離職者は現在のところ女性の方が多いが、現役世代の人口減少に伴って一人でケアを行う単身介護者が増えれば、男性も同じように辞めていく可能性が高まるとの予測も示す。介護への関与を過度に助長し、キャリアを犠牲にすることのない両立支援制度の運用が重要――と力説する。
(池田心豪著、中央経済社刊、TEL:03-3293-3381、2500円+税)
令和3年4月19日第3301号16面 掲載