【主張】ミス多発の厚労省改革を
日本人の命と仕事を守り幸福に導いていく厚生労働省組織が痛んでいる。厚労省本省職員の調査によると、「仕事に全力を尽くす気にさせてくれる組織か」を聞いたところ、悲観的な回答を寄せた職員が多数派となった。重点的に取り組むべき改革項目として最も期待されているのが、冷暖房の温度調整や稼働時間の柔軟化だった。政策立案や人事考課など以前に、最低限の職場環境整備に欠け、働く意欲を失っている現状が浮き彫りとなっている。まずは肥大している組織を再分割し、職場に対するきめ細かな配慮に努める必要がある。
厚労省が本省職員約1700人を対象にアンケート調査したところ、「厚労省で働くことを誇りに思っている」とする職員は5段階で3.6となり、総平均の3.1をかろうじて上回った。しかし、「良い職場として家族や友人に勧めることができるか」「仕事に全力を尽くそうという気にさせてくれるか」という設問では、順に2.4と2.9で、総平均を下回っている。職場満足度調査では、政策遂行の柱となるはずの25~39歳の若手からミドル層で低くなっているのも気に懸かる。
重点的に取り組むべき改革として上がっている項目が悲痛である。最も指摘が多かったのが、「冷暖房の温度調整や稼働時間の柔軟化等」で期待度63%に。「委員会開催スケジュールの事前合意・共有と質問通告2日前ルールの徹底」および「テレワークの推進・環境整備」がともに62%で次いでいる。「超過勤務手当の適切な執行」を期待する声も少なくない。
そもそも、厚労省組織は職員数3万人を超えており、巨大過ぎる。経済産業省は8000人に満たない。厚労省所管予算も突出して高額で、国会関連業務や審議会・委員会業務でも最も多忙を極めているのが実情である。提出法案の多数のミスや統計ミスに加え、新型コロナ接触アプリの度重なるトラブルまで加わった。一時代前の中央官庁無謬論は地に落ちている。
厚生・労働の再分割と職場環境のきめ細かな改善、ゆとり創出を国民的課題として捉えるべきだ。