雇用の維持をサポート/村瀬社会保険労務士事務所 村瀬 健二
昨年1月からの新型コロナウイルス感染症で社会環境が大きく変わり、先のみえない経済情勢が続いている。
当然我われの関与している顧問先も無傷とはいかない。今まで安定成長を続け、規模拡大を続けてきた企業でもコロナによって突然急ブレーキを踏まれたのだから当然である。
顧問先でも雇用調整助成金の受給を検討することになり、同年2月ごろから受給要件の確認に追われることとなった。突然変更される助成率や申請書式の確認のため毎日厚生労働省のホームページをチェックし、内容確認のためハローワークへ電話してもつながらず、1時間近くかけ続けたこともある。仕方なく、ハローワークの専門窓口へ朝8時前から並び相談に行っても、明確な回答を得られないことも度々あった。
従来、顧問先からの依頼のみで行っていた助成金申請業務だったが、6月ごろからスポットの相談や申請依頼をされることが増えてきた。
普段関与していない企業は日々の業務も把握できず、不正受給の手伝いをしてしまう恐れもあることから、受託に関してはかなり迷ったが、雇用を守りたいと真剣に訴える事業主の表情をみて、受託することに舵を切った。事業所を訪問して事業主と直接面談をすることを条件に、相談を受けることにした。
零細・中小企業の中には、雇用契約書も出勤簿もなく社長のメモ書きで給与を支払っている会社もある。労災保険・雇用保険の加入義務があるにもかかわらず未加入の場合もある。遡及適用をして雇用契約書や賃金台帳、給与明細のフォーマットを用意し、実態に合わせて記入していく。面談時までの給与支払い状況や今後の見通しを確認していくなかで、受給可能かどうかを探っていく手間のかかる作業である。
ヒアリングの結果、休業手当の資金繰りのめどが立たず受給をあきらめてもらった企業もある。また、明らかに不正受給を目的にした事業主に出会うこともあり、とにかく申請してほしいと頼まれたこともある。受託できない旨を丁寧に伝えても、事業主から罵声を浴びるケースもあった。
しかし、今回の雇用調整助成金で救われた企業は確実にある。失業の不安から解放された労働者もいる。そういった事業主・労働者の方からお礼をいわれる職業であることに誇りと自信を持って今後も業務を行っていきたい。あわせてコロナ禍のなか、そして終息後も見据えて企業の発展に寄与できる社労士でありたいと考えている。
村瀬社会保険労務士事務所 村瀬 健二【愛知】
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