【安全衛生・お薦めの一冊】『派遣と請負』
2011.01.11
【書評】
改正案の問題を指摘
派遣事業や請負事業をめぐる問題は深刻な状況にあり、早急な改善が必要になっている。政治、行政の対応も行われているが、本書は派遣法改正案が本当に派遣事業や請負事業に関する問題の解決に資するものであるのか、派遣法令が適正に運用されているのか、を検証しようというのが狙いだ。
「派遣法改正案」「26業務派遣の運用」「派遣と請負の区分基準(告示第37号)の適用」「派遣・請負問題を担当する労働力需給調整行政の問題」の4章で構成。
本書では、派遣法改正案の問題点を専門家の視点であげており、例えば偽装請負問題の再燃を指摘。この問題を解消するために行政は、派遣事業への転換を指導したのに、製造派遣が禁止になれば、請負事業へ流れが戻り、問題が再び起きるとしている。また、派遣法について誤解しやすい事例を示し解説しており、派遣事業を再確認できる一冊となっている。
(労働新聞社刊、木村大樹著、TEL:03-3956-3151、B5判、82ページ、952円+税)
平成23年1月1日第2129号 掲載