3割超の事業場で半年に1度の健診せず 築地市場への労務管理調査で判明 中央労基署
早朝勤務の労働者を「深夜労働者」と認識していない可能性も
東京・中央労働基準監督署は、築地市場の事業場に対して労務管理に関する自主点検を初めて実施した。1割の事業場が雇入れ時に労働条件を書面で交付していないことや、3割以上の事業場が常時深夜勤務をする労働者に対して6カ月に1度の健康診断を実施していないことが明らかになった。
調査は平成28年7~8月に実施。495事業場に自主点検表を配布し、33%に当たる164事業場から回答を得た。近年、労働条件を明示しないといった違反などが増加傾向にあることに加え、近々の市場移転に伴い、解雇手続きに起因する労働トラブルの増加を懸念して実施している。
それによると、労働者を雇い入れたり契約更新をした際に、賃金や労働時間に関して記した労働条件を書面で明示していない事業場は全体の1割に当たる19事業場だった。労働者に残業させている企業のうち2割で、時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)の届出を行っていない実態も判明している。
健康診断については、85%の事業場が法律どおり年1回実施している一方、正社員等一部の労働者のみを対象としている事業場も少数ながらあった。深夜労働者の健康診断について聞くと、3割以上で半年に1度の健康診断を実施していないことが判明。同労基署は、「所定労働時間が午前3時~正午というような労働者に対して、深夜労働を行わせている意識が低いのかもしれない」とみている。
同労基署は今後、労務管理の基本事項についてより一層の周知活動を行うとともに、必要に応じた監督指導を実施していくとしている。