【今週の労務書】『「副業」の研究 多様性がもたらす影響と可能性』
2021.05.22
【書評】
スキル向上効果は限定的
副業がスキルの向上に効果があるのか、どのような属性の人が副業をしているのかなどについて、各種統計を駆使しながら分析し明らかにしているのが本書。マクロな視点から副業を概観できる。
著者の分析では、スキル向上効果は限定的とする。たとえば、管理的職種、専門的・技術的職業などを本業とするフルタイム労働者には、本業の1時間当たり賃金を上昇させる効果があるが、本業がパートタイム労働者の場合には、そのような効果を認めるエビデンスはみられないとした。
このほか、非正規労働者が収入の確保を目的として副業を持つ様子がみられる一方、とくに中高年のパートでは副業より本業の労働時間の増加を求める傾向があるなどといった分析結果も示している。
(川上淳之著、慶應義塾大学出版会刊、TEL:03-3451-3584、2700円+税)
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令和3年5月31日第3306号16面 掲載