風土づくりの大切さ実感/社会保険労務士事務所テラス 倉 雅彦
雪深い大都市「札幌市」で事務所を開設して、今年で8年目を迎える。前職が介護・福祉関係だったため、現在の顧問先も介護・福祉関連の事業所が半数以上を占める。この7年間、多くの事業所とかかわらせてもらう中で、私自身痛感したことがある。
それは、「ルールづくり」と「風土づくりの」2つの車輪が同時に回らなければ組織の発展はあり得ないということだ。
ルールとは、もちろん就業規則などのことである。ここで詳しく語る必要もない。
私がルールと同等、あるいはそれ以上に大切だと考えるのが「組織風土」である。
組織には様ざまな考えの人がいるため、ルールを作る必要がある。
しかし、そのルールを守るのは多種多様な価値観を持つ職員一人ひとりなのである。
私は3年ほど前から、経営サイドではなく、職員に自社の行動指針を決めてもらうという研修に力を入れている。
まずは、個々の長所を職員同士で認め合うワークを行い、他者を認め尊重することの大切さと、他者から認められる喜びを体験してもらう。
自己と他者を理解したところで、自らの職場をより良くするためには自分たちがどのような行動を採るべきかを考えてもらう。
この行動について、職員の意見をまとめながら1つの行動指針を作成するというのが、私が提案している研修の内容だ。
この研修を通じて、自分や同僚等の職員一人ひとりが組織の大切な一部であることを、言葉ではなく実体験として感じてもらう。
「あの人もやっているから良いだろう」、「私一人くらい大丈夫だろう」、「見て見ぬふり」といった悪い風土の中ではどんなに立派なルールも決して守られることはない。
小さな綻びがやがて組織全体に影響を及ぼし、いわゆる「入会地の悲劇」を招くことだろう。
互いに認め尊重し合う風土、互いに協力し助け合う風土があればこそ、取り決めたルールも活かされるのである。
こうした考え方は、初めはなかなか受け入れてもらえないこともあったが、最近では、職場の雰囲気が明るくなった、職員同士のコミュニケーションが増えた等の嬉しい声を頂戴している。
今後も社会保険労務士として、ルールづくりだけではなく、風土づくりの専門家をめざしたい。
社会保険労務士事務所テラス 倉 雅彦【北海道】
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