【道しるべ】平成24年 人の営為に更なる「絆」の広がりを

2012.01.01 【ひのみやぐら】
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 「絆」の一字は、力強く映って胸に沁み入る。人と人との堅固なつながり、家族間の断ちがたい結びつき、大切なものを護り支え合おうとする無垢の衝動――そんな人のかたちと情況が、この言葉からは伝わってくる。

 昨年の東日本大震災は、甚大無比な災厄をもたらす一方で、人々の気持ちの奥にあって表出の機会が稀だった「人同士の絆」というものを無作為のうちに呼び覚まし、浮かび上がらせた。それが原動となっての相互扶助が幾重にも広がったとき、絆の尊さ大切さと底力を今さらながらに実感させてもいる。この体験は、脳裏に留めて生かしつづけたい。

 ことは被災地復興に向けた支援・ボランティアだけを指すのではない。それと同じ構図や在り方を生活身辺から所属組織・集団に至るまでの様ざまな場に移入して活かし、絶やさないようにしたいのである。

 他人(ひと)との手つなぎを忌避する傾向が強く、それが共存共生意識を薄めている時代である。不幸な災禍があったためとはいえ、事後の対応において明らかになった諸々の絆の様が一種新鮮な響きをもって捉えられたのも、その裏返しの証しだろう。それはまた、人が危難に立ち向かうときに誰の心にも結束の意識が働くことを知らしめている。

 いざとなれば、人は持てる力を寄せ合ってスクラムを組み、労を惜しまない。協力とか助け合いといった、普段は何気なく使っている言葉を実行動で体現し、当たり前にこなして特別としない。この頼もしい絆力(きずなぢから)ともいうべきパワーが種々の営為に注がれたとき、我われは意想外の効力発揮を目の当たりにするのではないか。

 新しい年を迎えての祈願・願望もある。しかし、夢想のうちに終わる類の希望ではない。今ある人と人とのつながりを日常の背景から前面へと押し出し、それを恃(たの)んでの取組みの展開は決して難しくないだろう。平成24年を、「人の絆」が生彩を放って一段と広がる年にしたい。

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平成24年1月1日第2153号 掲載
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