【道しるべ】ミス続出 “類似事象ないか”の見直しを
先月中旬に行われた大学入試センター試験の会場で、ミスが続出した。トラブルの規模としては過去最大だったという。英語のリスニング用の機器(ICプレーヤー)が試験場に届かなかったことや、出題冊子の一部を配り忘れたことなどから混乱に陥ったわけだが、お粗末の限りとしか言いようがない。
不手際の原因としては、試験会場側や監督者が前回より複雑な作業を求められていたにもかかわらず変更点を十分に理解していなかった、センターからは昨年6月の時点で新しい実施マニュアルが発表・配布されていたが(試験を)管理監督する大学側への説明と注意が不十分だった……等々が挙げられているが、事の手順変更を呑み込めないまま当日に至ったらしいのには呆れるしかない。これは集中心とか注意不足を云々する以前の問題だろう。
たまたまだったが、その頃、ある企業の安全担当氏から災害防止の現状について伺う機会があって、自然当然のなりゆきとしてセンター試験での“考えられないミス”に話が及び、あれこれエラー談義を交わすことになった。
「実施事項を伝達した側には文書で流したはず、注意を促しているはずといった思いがあるんだろうけど、それがちゃんと伝わっているかまで確かめたかどうか。受け取った方にしても、変更部分にはある程度留意したにしても、予行訓練をした様子もなさそうで、どちらにしても詰めのチェックを怠ったとしか思えない。我われの職場でも、これが怖い」――。安全担当氏の感想は、そこから始まって組織における意思疎通・確認のあり方、通達事項が漏れなく実践されるためのノウハウ、更には第一線現場や個々人レベルでのミス予防へと広がり、人的要因での過誤(エラー)の完全防止は難しいとしても「繰り返しの指導と地道な教育で減らせるはず」と語ってくれた。
緊張感の欠如と報じられた入試にまつわる凡ミスを睨みながら、職場に類似の事象が起こっていないか、一度見直してみたい。