【道しるべ】「凡事」の徹底 “なぜ当たり前か”の説明・確認も
「あたりまえ」という言葉を国語辞典で引いてみると、『だれが考えてもそうであるべきだと思うこと。また、そのさま』とある(三省堂「大辞林」)。これを安全に関する意思表明時にキーワードとして織り込み語る例を多く見かけるようになった。
「当たり前のルールを愚直に守って実践し……」、「安全が“やらされる安全”にならず、あたりまえのことが当たり前にできるようにする」と述べていたのは大和ハウス工業㈱の西村達志専務。「凡事徹底で安全を作り込めるようにすることが大切」とも強調されている。
同じ熟語を用い「凡事徹底の精神でゼロ災運動を進め、日本一安全な列車見張会社を目指したい」とトップの決意を示されたのは㈱レールセキュリティの竹内千里社長。お二人とも、すでに本誌のインタビューや特集記事で紹介ずみだが、「当たり前の徹底」を活動推進の要諦と捉えていらっしゃる点で共通している。
そうしたポリシーから発出される施策は、コンプライアンス・リスク診断、心の不備のチェック(大和ハウス工業)、研修・訓練の拡充、自問自答カード1人KYTや指差し呼称の不断の実践(レールセキュリティ)などなど社内事情によって様ざまだが、どれも事故・災害防止を必須とする以上アタリマエのこととして行われ、実効を上げている。
4月の年度始めともなると、大方の職場には「新」の付く人たちが加わる。新入社員、新任スタッフ・職長・監督者。就業全体を司る管理者の交代もある。その人たちには上述両社の例に倣いながら、業務と職務を遂行するにあたっての銘として「凡事徹底」を胸に収めていただきたいと思う。とりわけトップの任に就く方にはである。
また、意識の浸透を図るときには“なぜ当たり前か”の説明と確認も添えたうえで励行を求めるようにしたい。当たり前な諸々というのは、当然なあまり軽んじられやすく、意識外に置かれがちになるからである。