【道しるべ】イラストシート 見せて“考えさせる”効果は大

2012.08.01 【ひのみやぐら】
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 小欄前号のテーマは危険予知だったが、その訓練に必需なものに「イラストシート」がある。作業の状況を描いたKYシートを基に、そこに潜む危険要因、予想されて警戒を要する現象をグループで話し合い、対処方について意見を出し、行動目標を決めていくというやり方は、これまでの実施歴の長さから今や“古典的訓練手法”と評されるまでになっている。

 その必要性を重視し、安全活動の中心に据えている所は依然多い。イラストを写真に、あるいはビデオ、動画に代えるといった変化はあるにしてもである。恐らく、語り聞かせるだけで済ますよりも、当の作業者に“見せて、考えさせ、発言させ”る試みが危険への感性を養ううえで何倍も効果があるからだろう。とりわけ施工状況が日々変わっていく建設現場などでは、有用性が高いようだ。

 このほど小社から発行になった『きょうの作業の安全ポイント集』(ファイル版)も、そうした効用を睨みながら編集されたもので、“注意事項をイラスト化”しているところに特色がある。

 ①共通編、②杭・山止・土工事、③鉄筋工事、④型枠工事、⑤コンクリート工事、⑥鉄骨工事、⑦足場組立・解体工事、⑧左官・石・タイル工事、⑨内装工事、⑩設備工事――などの工種に分けたシート集には、200点を超えるフルカラーのイラストが収められており、各作業上の安全のポイント(注意事項)も明記されている。また、関連災害事例の紹介もあり、被災回避への刺激情報となっている。

 こうした、災害防止の勘どころを視覚を通じて強調し、併せて基本的な知識や心得を簡潔に伝えるというのは、いわば作業前ミーティングの要件を凝縮したものだといえる。作業に入ってから、これを現場に掲示して災防意識を促すのも手だろう。

 “安全の見える化”の一環としてのイラストシート活用は、相当以前からのことながら、年を追って様ざまな工夫が施されるようになってきている。

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平成24年8月1日第2167号 掲載
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