【助成金の解説】雇用調整助成金 新型コロナ特例の7月以降の措置/岡 佳伸
2.受給時のポイント
① 新型コロナ特例に関する対象期間が原則の1年間から令和3年12月まで伸びたので、その間は生産性要件(5%減少要件)は再判定不要になります。
② 対象期間1年間については、通常様式であれば原則、平均賃金額は変更はありません(当初算定した労働保険料申告書等に基づく計算により算出された額の給付が続きます。例えば令和2年度の確定保険料の申告が終了していても、最初の判定基礎期間時に算定した平均賃金額をそのまま使用することが出来ます)。
③ 休業協定の協定期間は最長1年間なので、期限が切れている場合は再度休業協定を結び直す必要があります。
④ 業況特例は全国で雇用保険適用事業所単位、地域特例は知事による要請を受けた施設単位のため、業況特例に該当する場合は業況特例を優先して適用します。
⑤ 業況特例について該当する場合は、令和3年5月1日から令和3年9月30日までの期間が特例の対象となります。判定基礎期間がこの期間を1日でも含む場合、その判定基礎期間の全ての休業等に特例が適用されます。
⑥ 業況特例は同一の対象期間である限り、業況に関する特例(緊急事態宣言等対応特例(業況)を含む)を設けている間であれば改めての生産指標の提出は必要ありません。ただし、翌月以降の提出には、前回提出いただいた生産指標の申出書のコピーを添付いただけると審査がスムーズに行われます。
⑦ 業況特例を適用する場合は、比較対象月に労働者がいて雇用保険適用事業所になっていることが条件になります。また、同じ雇用保険適用事業所内の新設店舗を除いて判断することも出来ません。
⑧ 地域特例は特定都道府県や重点区域に設置している店舗の一部で対応している場合や休日にのみ時短営業を行っているような場合は対象になりません。対象となるためには、要請等に全面的に協力している必要があります。
⑨ 地域特例は特定都道府県及び重点区域内の要請等対象施設のみ特例の対象となります。同じ雇用保険適用事業所単位内でも、要請等対象施設と要請等対象施設以外の労働者を休業等させた場合は、それぞれの様式に分けて申請する必要があります。
⑩ 地域特例の適用事業主になったとしても、重点区域の知事の要請等の内容(期間、施設の制限等)に応じて協力する店舗で就労する労働者のみが対象になります。そのため、本特例事業主が実施した要請等対象施設以外の施設での休業等には従来の助成率(最大9/10)、および雇用維持要件(令和2年1月24日からの確認等)が適用されます。
※上記参考、引用 厚生労働省 雇用調整助成金のQA
3.まとめ
対象期間の特例の関するリーフレットが新しく出されて、原則1年間の対象期間が過ぎても受給できる期間が令和3年12月31日までと明記されています。令和3年9月30日までは現行の措置が続きますが、今後、助成率や上限額に変更があったとしても雇用調整助成金が令和3年12月31日まで受給出来ることになります。上記の特例が自社に適用できるかどうかを検討しながら、雇用調整助成金を上手に活用して、雇用の安定を図っていきましょう。
※こちらのリーフレットに7月末までと記載がありますが、上記に記述してきた通り令和3年9月30日まで現行の措置が続きます。
筆者:岡 佳伸(特定社会保険労務士 社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表)
大手人材派遣会社などで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。
日経新聞、女性セブン等に取材記事掲載及びNHKあさイチ出演(2020年12月21日)、キャリアコンサルタント
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