【労働法超入門】労災保険特別加入者の範囲拡大
令和3年4月1日から、労災保険の特別加入の範囲が拡大されています。
労災保険の対象になるのは原則として「労働者」です。しかし、それ以外の就労パターン等でも、特別加入により、一般の労働者と同様の保護を受けることができます。
パターンとしては、3とおりあります。
① 中小事業主等
➁ 一人親方等
③ 海外派遣労働者
今回、拡大の対象となったのは、➁一人親方等です。一人親方等は、さらに「一人親方」と「特定作業従事者」に分かれます。
一人親方は、企業と請負・委託契約を結ぶ個人事業主を指します。代表的なのが、建設業のいわゆる「一人親方」です。特定作業従事者は、雇用契約以外の形で、一定範囲の業務に従事する人たちを指します。例として、危険有害な農作業、内職従事者(家内労働法の対象者)、労組の常勤役員等が挙げられます。
今回改正により、一人親方のグループに次の4種類が加わりました。
・一人親方型
イ 柔道整復師
ロ 創業支援等措置に基づき高年齢者が行う事業
・特定作業従事者型
ハ 芸能従事者
ホ アニメーション制作従事者
このうち、ロは、同じく令和3年4月1日から施行されている改正高年法と関係があります。事業主に対し「70歳までの就業確保措置」を講じる努力義務が課されましたが、その選択肢の一つが「創業支援等措置」です。
事業主は、雇用ではなく、委託契約等により、高年齢者の就業機会を確保します。このタイプにより働く高年齢者は、労働者ではないので、特別加入方式により、労働災害に備える形としたものです。個々の高年齢者は、同種の個人事業主を構成員とする団体に加入し、特別加入の申請をします。