【主張】コロナ対策新たな段階へ
1年余りが過ぎた新型コロナウイルス感染症への対応は、人心を不安にさせる過剰さが目に付く。飲食・宿泊業界、雇用や経済全体へのダメージが大きくなっており黙認できない。国民は、コロナ感染状況を冷静に受け止め、国は、生活を支えるための十分な経済対策を打つべきだ。
東京都に「緊急事態宣言」が発令されたなかで、東京オリンピック・パラリンピックが開催されたことは、高く評価したい。日本の威信を掛けた国際的祭典である。コロナ感染症を理由に中止となっては、後世の子供たちに語り継げなくなる。
コロナ感染症の実態については、もっと冷静に判断すべきである。厚生労働省が7月に公表したコロナ感染症の「“いま”に関する11の知識」によると、日本ではこれまでに79万6835人がコロナ感染症と診断されたとしている。そしてこう続けた。「これは全人口の約0.6%に相当します」。つまり、全人口の99.4%、ほぼ100%近くは無感染といっても良い。ここでいう「感染」は、正確には「陽性」であり、多くのケースでは発病もしていない可能性がある。
問題視される重症化や死亡割合も以前と比べて低下している。2020年6月以降に感染したとされる人の中で、重症化したのは約1.6%で、50歳代以下では0.3%。同じく死亡者の割合は約1.0%、50歳代以下で0.06%だった。
20年の人口動態統計(年報)では、全死亡数は137万2648人で、前年の138万1093人より8445人減少し、1000人当たり死亡率は11.1で前年より低下した。インフルエンザによる死亡者は954人で、前年3575人から大きく減少、また肺炎による死亡者は7万8445人で、同じく前年9万5518人からの減少がめだつ。
毎日、感染者数を声高に報道するマスコミを含め、もっと冷静に事態を受け止めてもらいたい。今後は、事業活動や雇用を優先する新たな感染症対策に移行すると同時に、強力な経済対策を早急に打ち出す必要がある。