【今週の労務書】『経営人材育成論』

2021.08.28 【書評】
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新規事業創出の経験を

 ミドルマネージャーを経営人材として育成するには、Off―JTや、管理監督業務を経験させる従来の方法だけでは、管理と経営の間にある溝を乗り越えるには限界がある。本書は、新規事業創出を通じた経営人材の育成の有効性を説く。

 新規事業の創出経験を通じて身に着けられる要素として、利害関係者を巻き込む実践知などの他者本位志向や、リーダーマインドのほか、一事業の責任者という管理職の見方から企業組織全体へと変わる「経営者視点」を挙げた。より効果的な能力獲得へ向け、失敗を許容したり意思決定の自由を認めたりする職務裁量性を与えることに加え、経営陣によるサポートが有効とみる。熟達しているとみられがちなミドルマネージャーも、支援を必要としているとした。

(田中聡著、東京大学出版会刊、TEL:03-6407-1069、税込み3960円)

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令和3年8月30日第3318号16面 掲載
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