【安全衛生・お薦めの一冊】『なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか』
2021.08.27
【書評】
経験もとに活用例を示す
小規模事業者にとって、一人ひとりの社員は貴重な戦力。突然の体調不良やメンタル不調で休職、退職となっては、業績への影響が免れない。企業の健康管理のカギを握る産業医だが、従業員50人未満の企業には選任義務がなく、活用を考える経営者も少ない。
本書は、小規模事業者にとって産業医がどう役割を果たすのか、どのようにして社員との架け橋になることができるのか示したもの。産業医である著者の経験をもとに指摘している。
例えば、美容院を経営する従業員20人前後の企業では、メンタル不調者が多く、問題になっていた。面談を重ねると休憩場所がなく、常に先輩と過ごさなければならないことが分かる。改善策として、従業員が1人になれる時間をつくったところ好評を得たという。このように、産業医を活用して解決した事例を分かりやすく紹介している。
社員が健康で長く働くことができる職場づくりのためにも、ぜひ一読を。
(富田崇由著、幻冬舎刊、TEL:03-5411-6222、新書判、180ページ、800円+税)
2021年9月1日第2385号 掲載