【ひのみやぐら】建設業も「働き方改革」
電通の過労自殺やヤマト運輸に代表される人手不足問題が新聞紙上を賑わせている影響で、「働き方改革」が社会的注目を浴びている。もちろん、働き方を見直そうという動きは、ホワイトカラーや運送業に限ったことではない。建設業でも、大きな波が押し寄せている。「建設工事従事者の安全および健康の確保の推進に関する法律」が3月16日に施行されたが、基本計画を推進するに当たって関係機関相互の調整が必要なことから「建設工事従事者安全健康確保推進専門家会議」を設置することになった(3月15日号ニュース欄既報)。このほど、第1回目の会合が行われている。
建設業の課題は山積みだ。とくに五輪工事などで建設需要が増すなかで、就業者の高齢化は猛スピードで進んでいる。総務省の労働力調査を基に国土交通省が算出した結果によると、55歳以上の労働者が約3割に対し、29歳以下は約1割という。55歳以上の層は10年後には、大半が引退すると考えてよい。このままの推移でいけば、建設業で働く人は圧倒的に少なくなり、業界衰退の要因になりかねない。若年入職者の確保、育成は喫緊の課題なのだ。
竣工時の達成感、地図に残る仕事としての建設業は魅力ある業界に違いないが、若い人を引きつけるためには安全衛生の担保、労働条件の整備がされていないと振り向いてはくれないだろう。そこで重要になるのが「働き方改革」だ。建設業は、休日が確保されにくいという理由から総労働時間が長くなっているのが現状。同会議では、長時間労働の是正や週休二日制の推進に力を入れていくとしている。
多くの公立の小、中、高校が週5日制になったのは2002年。これから社会に出ていく若者のほとんどが、週休二日制は当たり前ととらえている。自分の時間を大切にする現代の若者に、休日が1日のみというのは敬遠の対象となる懸念がある。そうでなくとも、少子化で人手不足に陥るのは、建設業ばかりではない。ほかの産業と人材の取り合いとなると考えるのが自然だ。
社会に貢献する魅力ある産業としての建設業の将来像を、じっくりと見つめ直す必要がある。