外国人労務管理の中心に/サポーティングオフィスとりこし 代表 鳥越 勇人
私は20歳代で社会保険労務士を開業して、20年になる。いまだに1号、2号の手続き業務がメインだが、行政書士として、社労士業務と親和性が高い外国人の在留資格申請手続きも行っている。
平成31年4月から新たに始まった特定技能制度など、就労可能な在留資格が拡大されていることもあり、今後においても申請業務がますます増えていくと予想される。
外国人技能実習制度では受入れ先企業の法違反が報道されるため、外国人雇用というと悪しきイメージが先行してしまっているものの、私が手掛ける高度外国人材の申請では、国立・私立大学で上位の成績を収め、地元の優良企業に採用された方や、専門学校で専門性を磨き即戦力の職人として技能を発揮されている方なので、日本人と同等かそれ以上の労働条件を要件とする在留資格で就職するケースがほとんどである。
これらの会社では「安く使い捨てる」という考えは微塵もないうえ、外国人を貴重な人材として採用しており、内定の進め方や配属先のアドバイス、転勤や労働・社会保険の手続きなど、労務管理において、まさに社労士としての経験や知識が活かされている。
また、外国人技能実習制度や特定技能で雇用する会社に対しては、適正な労務管理がなされているか実地検査が行われ、最低賃金以上を支払っているか、残業代未払いはないか、違法な賃金控除の排除や36協定などの届出がなされているかなど、労働基準監督署並みの調査指導が行われるため、これらへの対応で労務管理や給与計算の依頼が舞い込むこともある。
さらに技能実習や特定技能の労務管理は、これら在留資格の特徴を踏まえ、かつ同一労働同一賃金に対応した就業規則や賃金規程の整備が必要となる。
これは筆者の予測だが、今後は高度外国人材が採用の中心になっていくのではないか。
なぜなら少子高齢化による優秀な若年人材として、あるいは、海外に支店や子会社がある企業のグローバル化のための幹部候補生として、彼らはとても魅力的だからである。
外国人の労務管理は、厚生労働省と法務省にかかわるため、届出・申請や守るべき法律が多岐で複雑である。それだけに、顧問契約により会社の労務管理を継続的に担う我われ社労士が、出入国管理の業務を学び、外国人労務管理の中心的役割を果たすことは、各種法令の円滑な実施、労働者保護の観点からも多くのメリットがあるといえる。
サポーティングオフィスとりこし 代表 鳥越 勇人【石川】
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