回転軸に覆い設けず右腕切断 マニュアルには危険な方法で作業指示も 岐阜労基署・送検
2022.01.12
【送検記事】
岐阜労働基準監督署は、撹拌機の回転軸に覆いを設けなかったとして、塗料製造業者と同社統括部長を労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで岐阜地検に書類送検した。20歳の労働者が回転軸に右腕を巻き込まれ、肘から先を切断している。
災害は令和3年3月4日、同社各務原工場で発生した。被災者は建築用塗料を製造する作業に従事していた。撹拌機の釜の内側や回転軸に飛び散った粉末性原材料の流し落とすため、プラスチック製ビーカーを使って水を掛けていたところ、高速回転していた回転軸に腕を巻き込まれている。
労働安全衛生規則第101条では、回転軸など労働者に危険を及ぼす恐れのある部分には覆いを設けなければならないとしているが、同社はこれを怠った疑い。工場で使用していた撹拌機は型が古く、覆いがない状態だった。
被災者は製造作業に当たって、同社のマニュアルである「製造指示書」に沿って作業していた。指示書には、塗料を流し落とす際に回転軸を作動させたままにするよう記載してあった。
同労基署は、「作業指示自体が危険だった」と話している。指示書は同社の持つ複数の工場で使用していたことから、本社で統括を担当している統括部長を送検対象とした。
【令和3年11月19日送検】