【GoTo書店!!わたしの一冊 JIL-PT・濱口桂一郎選集(2021年下半期)】『勤勉革命』『監視資本主義』『陸軍将校の教育社会史(上・下)』ほか

2021.12.25 【書評】
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このページでは、2021年8~12月に配信した濱口桂一郎さんによる書評をまとめてご紹介します。

『勤勉革命』ヤン・ド・フリース 著
「勤勉革命(Industrious Revolution)」といえば、日本の速水融が資本集約的なイギリスの「産業革命(Industrial Revolution)」に対して、江戸時代の労働集約的な経済発展を指す言葉として提唱したものだが、本書でいう勤勉革命はだいぶ趣が異なる。

ヤン・ド・フリース著、筑摩書房刊、4400円(税込み)


『監視資本主義』ショシャナ・ズボフ 著
今日、私たちはグーグル、アップル、アマゾンなどのプラットフォームを使うことなく、1日たりとも過ごすことはできなくなっている。これらはとても便利だ。

ショシャナ・ズボフ著、東洋経済新報社刊、6160円(税込み)


『陸軍将校の教育社会史(上・下)』広田 照幸 著
1997年に刊行された学術書の24年ぶりの文庫版である。しかし、今読んでもワクワクするほど面白い。

広田照幸著、ちくま学芸文庫刊、上下各1320円(税込み)


『「ネオ・チャイナリスク」研究』柯 隆 著
最近、「中国の動向がやばい」と感じる事件が多発している。香港、ウイグル、チベット、モンゴルといった民族弾圧問題は以前からだが、これまで中国経済を牽引してきた先端産業の経営者に対して弾圧とも取れる政策が矢継ぎ早に取られ、文革を礼賛するかの如き評論が掲載されるなど、中国はこれからどうなるんだろうと感じている人は多い。

柯隆著、慶應義塾大学出版会刊、上下各2640円(税込)


『新全体主義の思想史 コロンビア大学現代中国講義』張 博樹 著
先月の本欄では、柯隆『「ネオ・チャイナリスク」研究』を取り上げた。最近のますます全体主義化する中国の姿を捉えるには、経済面だけでなく思想面からのアプローチも必要だろう。

張博樹著、白水社刊、4620円(税込)

▽2021年1~7月号掲載分はこちら


JIL-PT 労働政策研究所長 濱口 桂一郎 氏

選者:JIL-PT 労働政策研究所長 濱口 桂一郎(はまぐち けいいちろう)
 83年労働省入省。08年に労働政策研究・研修機構へ移り、17年から現職。

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