今週の労務書―2021年7~12月掲載記事を振り返る
『職務給の法的論点』久保原 和也、西村 聡 共編著
要点・リスク読み解く――弁護士と人事コンサルタントが組んで執筆した本書は、職務給にまつわる法的なポイント、リスクをQ&A形式で紹介している。
『社員満足の経営 ES調査の設計・実施・活用法』吉田 寿 著
否定形使わない質問文を――本書では、ES(社員満足度)調査の手法や測定方法、有効活用法を解説している。調査票の作り方では、質問文の設定の仕方から説明。否定形を使わない、1つの項目に2つ以上の質問内容を入れないなど、基礎的だが気付きにくいポイントを指摘している。
『弁護士・社労士・人事担当者による労働条件不利益変更の判断と実務―新しい働き方への対応―』白石 紘一 編著
説明時の要点を解説――76のケースについて、不利益変更における実務上の注意点などを解説したのが本書である。賃金に関する各種手当の廃止といった典型例から、フレックスタイム制におけるフレキシブルタイムの変更、週休3日制の導入といったテーマまで幅広くカバーしている。
『ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機』濱口 桂一郎 著
導入済み企業も一読を――「ジョブ型」と「メンバーシップ型」の定義を示したうえで、採用や退職、労働時間、賃金、労働組合などの雇用関係諸問題について詳細に論じている。浮かび上がってくるのは、いかに巷間でいわれる「ジョブ型」が本来のそれとはかけ離れているか。
『人材マネジメント用語図鑑』伊達 洋駆、安藤 健 著
視覚を通じて理解促す―― 本書は、人材マネジメントにおける24のキーワードと、各キーワードに関連する人事施策・制度を解説したもの。キーワードごとに、提唱した研究者名やその研究内容、活用する場面などを紹介。
『問題社員トラブル円満解決の実践的手法 訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方』西川 暢春 著
タイプ別に指導法を指南――能力不足にもかかわらず改善の意欲がない、指示に従わず反論を繰り返す、ハラスメントで職場環境を悪化させる――本書はこうした「問題社員」が引き起こすトラブルを退職勧奨によって解決に導く方法を解説している。
『アンガーマネジメントトレーニングブック2022年版』日本アンガーマネジメント協会監修
衝動的なパワハラを防止――アンガーマネジメントは怒りの感情と上手く付き合うための心理トレーニングだ。厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」で、日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介代表理事が職場での「悪い叱り方、上手な叱り方」をプレゼンするなど、パワハラ対策としても注目が集まっている。
『職場のメンタルヘルス対策の実務必携Q&A 適正手続とトラブル防止の労務マニュアル』岡芹 健夫 著
復職・退職までを指南――本書は、デリケートな対応が求められる従業員のメンタルヘルス不調に関し、企業がとるべき対策を網羅的に紹介する。休職命令や復職・退職などの手続きについて解説する一方、最終章では“事前の備え”として欠かせない就業規則の規定例も示す。
『経営戦略としての取締役・執行役員改革』柴田 彰、酒井 博史、諏訪 亮一 著
役割明確化し牽制機能を――今まで「聖域」として手付かずだった取締役・執行役員の改革を――本書ではそんなテーマを掲げ、体制の再構築について解説している。従業員層にジョブ型制度を導入するなど、大きく人事制度を変革した企業であっても取締役・執行役員の処遇はそのままにしている現状が多いと指摘。
『詳解 労働法 第2版』水町 勇一郎 著
同一賃金の解説が充実――本書は、詳解の名のとおり、労働法分野におけるあらゆる論点を網羅しつつ、読みやすく理解しやすい文章で過不足なく解説する。
『三井物産が変える人材採用』三井物産㈱人事総務部著
「合宿選考」で見極め――人材を獲得するに当たり、30分の面接を3回実施するだけで何が分かるのか――三井物産が、そのような問題意識に端を発して行った採用プロセスの変革を自ら開陳した。