【主張】下落が止まらない生産性
日本生産性本部が昨年12月に公表した「労働生産性の国際比較2021」の集計結果に改めて大きな衝撃を受けた。日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟38カ国中23位となり、1970年以降で最低順位に落ち込んだという。新型コロナウイルス感染症の拡大最盛期であったとはいえ、そのダメージは他国と比較すれば桁違いに小さかったはずである。国は、日本の貧困化に歯止めが掛からないことを真剣に受け止め、有効な対策を早期、大規模に実行する必要がある。
もう一刻の猶予もない。同本部は「人口減少が進む日本において、生産性向上は喫緊の課題」と述べている。相対的な労働生産性がこのまま下がり続け、貧困化が進むと、それこそ「次世代へのツケ回し」となってしまう。今後、数年のうちに順位を少しでも回復するために、国はあらゆる努力をすべきである。
同集計結果によると、20年の日本の時間当たり労働生産性は49.5ドルで、OECD加盟38カ国中23位、1人当たり労働生産性は、7万8655ドルで、同28位で、惨憺たるものである。「時間当たり」「1人当たり」の労働生産性は、ともに過去最低順位だった。
「1人当たり」でみると、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリスに大きく水をあけられ、東欧のポーランドやエストニアとほぼ同水準にある。
比較的優位といわれている製造業の労働生産性も、決して順位が高いとはいえない。19年の労働生産性水準(1人当たり付加価値)は、9万5852ドルとなり、米国の65%に相当、OECD加盟の主要31カ国の中18位であり上位とはいえない。
日本産業がなぜこのように非効率化し、国民が貧困化しているかは、バブル経済崩壊以降の経済政策の失敗が要因であることは明らかである。30年以上も続く経済低迷が、民間企業や勤労者の挑戦意欲を削ぎ、縮小再生産の泥沼に陥っている。この間、世界主要国との間に大きな格差が付いてしまった。
国は当面、労働生産性向上と国力回復を狙いとする政策実行を最優先すべきである。