他社と協業し提案に厚み/やくい社会保険労務士事務所 代表 藥井 遥
千葉県八千代市でこぢんまりと開業して以来、さまざまな企業との出会いがあった。それらの経営者や人事担当者からの相談に一つひとつ対応していると、その度に「社労士として、私には何ができるか」という焦りのような思いに駆られ、自分の立場を考えさせられる。
お客様から求められていることに対する責任、社労士事務所の経営という視点、私個人の仕事に対する基本姿勢やビジョン。これらの良いバランスを保つにはどうしたら良いのかは、いまだ模索中だ。
企業の相談役として私に何ができるか、ということを考えていると、ある時「私ができることには限界があり、私ができないことをできる人は他にいる」という結論に帰着した。恥ずかしながらそれまでは、社労士業務の範囲を超えた部分は「専門外である」として対応を諦めるか、もしくは仕事の合間や休日に時間を作り、自ら学び自分のものにしようとしてきた。
自分でやるか全くやらないかの二択しか持たなかった私が、他分野の情報収集・連携という選択肢を持ったことは大きな変化だった。最近の例では業務のデジタル化が挙げられる。業務効率や情報管理の利点からデジタル化の必要性を感じているが、私自身がお客様のニーズに合うシステムを説明するのは難しい。
社員の面談制度も然りだ。社員一人ひとりのメンタルフォローとして、社内で産業保健部門と連携して面談体制をつくっている中小企業はまだ少ないが、私はその必要性を感じている。
そんななか、産業カウンセラーの資格を取ったものの、心理の世界は奥が深く、さまざまな悩みを抱える人を前に自身の無力さを痛感する。そして今、それぞれの分野を専門とする会社と連携し、課題を抱える顧問先に提供する体制を整えている。
弊事務所では顧問契約をパッケージ化し、分かりやすくすることに努めてはいるものの、企業ごとに社員層や職場風土、経営者の考え方も異なっており、パッケージ化されたサービスを杓子定規に当てはめるだけでは足りないことも多い。
個別のニーズを聞き取った時、自分の手には負えない分野であっても会社と一緒に解決案を模索し、情報収集することはできる。顧問先との対話を重ねながら、社労士・産業カウンセラーとして対応できる範囲のほか、社労士としては対応できない範囲についても課題を共有し、解決案の選択肢を広げて提示することで三方良しの関係を築けたら良いと思っている。
やくい社会保険労務士事務所 代表 藥井 遥【千葉】
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