【ひのみやぐら】ヒヤリ・ハットに一工夫を

2022.02.10 【ひのみやぐら】
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 大型重機にぶつかりそうになって「ヒヤッ」とした、はしごを登ってみたら意外と高所であることに気がついて「ハッ」とした――。知らず知らずのうちに危険とニアミスをしていたり、不安全な行動をしてしまうことを「ヒヤリ・ハット」と表現している。

 ヒヤリまたはハッとした体験は報告書にまとめて提出することで危険の発生源が明確になったり、自身はもちろん仲間への教訓として役立てることができるので貴重なデータになる。安全衛生活動のなかでは、基本的な労働災害防止対策として挙げることができるが、一方で、いまひとつ現場に定着しないと悩んでいる担当者も少なくない。

 もっとも多い理由が、マンネリ化だ。活動を始めた当初こそ提出件数が上がるものの、しばらくすると「ネタ切れ」となって報告が滞るようになる。

 報告書に記入するのを面倒と感じる人もいる。特にヒヤリ・ハット報告書には、多くの場合発生時の状況をイラストで描く必要がある。絵心がなくとも例えば人間を表現する場合、マルと線だけで十分なのだが、それさえも敬遠してしまう人もいる。また、ヒヤリ・ハットの重要性を理解していなかったり、きちんと上司がフィードバックしないと自然と活動は停滞してしまう。

 ヒヤリ・ハット活動は、わが国でも古くから取り入れられているために、今後継続していくためにも「テコ入れ」は欠かせないだろう。建災防では「新ヒヤリハット報告」を開発したが、災害を疑似体験したというよりも、リカバリーしたというポジティブな面を押し出している。ミスを恥じて提出を尻込みする人の意識を払拭し、報告を集めやすくする考えだ。

 今号特集Ⅰで紹介する日本スピンドル製造の「先ヒヤリ」も非常に興味深い。ヒヤリを先に想定することで危険の芽を洗い出し、改善を図っていく手法は、リスクアセスメントに寄った考え方といえる。結果的に「後ヒヤリ」も減るので、災害防止につながるという取組みだ。

 安全対策は地道な活動なだけに、マンネリに陥りやすい。停滞を打破するのは、担当者の創意工夫にほかならない。

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2022年2月15日第2396号 掲載
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