【今週の労務書】『なぜ、おばちゃん社長は「絶対安全」で利益爆発の儲かる工場にできたのか?』
2022.02.26
【書評】
暑熱対策進め生産性向上
本書の副題は、従業員の快適性をとことん追求したら実現――。中小規模の鍛造業において、実際に取り組んだ安全対策や健康経営の詳細をまとめている。
暑熱環境の改善に向けては、フォークリフトにキャビネットを取り付けて冷暖房完備とする、天井ファンを設置して排熱を進めるなどの対策を行った。熱中症を防ぐだけでなく、体温上昇に伴う集中力低下もなくなり、作業効率が高まった。汗が噴き出すような力仕事はローテーション制に切り替え、多能工化の実現にも結び付けた。
安全対策が現場の見直しにつながり、最終的には生産性向上に結実することが腹落ちできる。舞台となった会社は赤字から回復し、100億円で大手企業に譲渡したという。中小企業経営者や人事担当者は必読だ。
(平美都江著、ダイヤモンド社刊、TEL:03-5778-7240、税込1650円)
令和4年2月28日第3342号16面 掲載