【今週の労務書】『仕事から見た「2020年」 結局、働き方は変わらなかったのか?』
2022.04.09
【書評】
データから変化を再確認
コロナ禍が働き方に与えた影響について、コロナ禍前から同一個人を調査し続けたデータを通じ検証したのが本書である。11人の学者らが、テレワーク、雇用形態間格差など多様な切り口から分析をしており、現在の潮流を概観できる。
たとえば、テレワークを実施できたり定着させたりした要因の分析では、信頼できる上司によって目標管理制度の運用や仕事の割振りが行われていることが、継続につながっているとした。また、労働組合など労働者の利益を代表し交渉する組織や手段がある企業では、実施率のみならず生産性も高いと説明する。
一方、経済危機で非正規労働者が大きく影響を被る労働市場の構造などは、従来と変わっていないとした。
(玄田有史・萩原牧子編、慶應義塾大学出版会刊、TEL:03-3451-3584、1980円税込)
令和4年4月11日第3348号16面 掲載