多様な価値観に向き合う/社会保険労務士法人つむぎ 代表社員 川端 努
令和2年5月1日に私の事務所(4人)と当法人の共同代表である川東三江子社労士の事務所(4人)が合併して、社労士法人化した。2人代表だったので、合併前には「2人代表ではうまくいかないのでは?」といわれたこともあった。うまくいかない理由は、お互いの価値観、仕事のバランス、売上げや給与のバランスだろう。
私たちは、まず価値観を合わせるために、経営理念の策定から取りかかった。自分たちがかかわった会社にどんな風になってほしいか。かかわった会社にどんなサービスができるのか。そのために自社のスタッフにはどうあってほしいか。そんなことを議論して策定した。
法人としてスタートすると、それぞれの仕事のやり方の違いが顕在化してきた。そこは法人化の後に入社してくれたスタッフが外部目線で尽力してくれたおかげで、すべてではないが、すり合わせることができてきている。その頃からスタッフ間の協力体制も形成されて一体感を感じられるようになった。スタッフがどっちを向いて仕事をしたら良いか戸惑わないように、共同代表とは普段からコミュニケーションをとって、法人の幹の部分はぶれないように気を付けている。
今後は自分たちよりも優秀な人をどう採用し、どう働いてもらうかが課題である。
労務問題は、法律をベースにしつつも相手によって対応が異なることが多い。
以前はリスク回避に重きをおいた提案をしていたが、今はそれに加えて、会社が永続するために3つの視点で考えて提案している。
その3つは、大正~昭和時代の思想家である安岡正篤氏が説いた「長期的」「多面的」「根本的」である。目先にとらわれず、複数の選択肢から、根本的に何が会社にとって最適かを考える。そんなときに思い出すのが「問題を理屈で割っていっても感情という余りがある。それにどう対応するかが大切だ」という私の尊敬する方から教えていただいた言葉。問題を法律という理屈で整理していっても、個人的な感情がネックになることが多い。最終的にはそんな感情にどう対応するかが重要だということである。
AIに置き換わる仕事が増えていくといわれているなかで、社労士の仕事のうち、人と向き合う部分については、ますます重要となってくるだろう。企業経営は、多様な価値観のなかで人とどう向き合うかにかかってくると思う。そんな企業の健全な発展に寄り添えるよう尽力していきたい。
社会保険労務士法人つむぎ 代表社員 川端 努【大阪】
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