実習生をフォークで上昇させ墜落労災 その後も無資格運転続け 牧場主と親族を送検 出雲労基署
島根・出雲労働基準監督署は、フォークリフトの運転資格を持たない者が、フォーク部分に差し込んだパレットに技能実習生を乗せて上昇させ、実習生が墜落して負傷した労働災害に関連して、畜産業者と同社代表取締役の42歳男性を労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反、無資格でフォークリフトを運転していた同代表の親族の73歳女性を同法第61条(就業制限)違反の疑いで、松江地検に書類送検した。さらに労災発生から1カ月後に、同労基署が臨検した際にもフォークリフトを無資格で運転したとして、同じく親族である42歳女性と同法人を同法第61条違反の疑いで同日書類送検した。
労災は令和3年4月8日、同社所有の牧場で発生した。同代表取締役は、フォークリフトの乗車席以外の箇所に労働者を乗せないなどの墜落防止措置を怠った疑い。被災した実習生は、災害当日、ミキサーに牛の餌を投入するため、床上から2.5メートルの高さまで上昇していた。墜落時に額を打ち、前頭骨にひびが入り約2週間休業している。
親族の73歳女性は、実習生を乗せたフォークリフトを無資格で運転した疑い。同居の親族は労働基準法上の労働者に当たらないため、運転者本人に同第61条を適用している。
同労基署は4月8日の災害について捜査していた警察から「(最大荷重1トン以上のフォークリフトを複数台所有しているにもかかわらず)この牧場には有資格者が1人もいない」との情報提供を受け、5月20日に抜打ちで臨検を行った。その際に、無資格の42歳女性がフォークリフトで牛の餌押し作業をしている現場を確認している。同労基署は、労災が発生した後も無資格運転を続けていた点が悪質であるとみて、同容疑について指導や是正勧告は挟まず、送検に踏み切った。
【令和4年2月25日送検】