障害者に所定外残業代を払わなかった社会福祉事業者送検 「残業なかった」と虚偽の陳述続け 高岡労基署
2022.06.06
【送検記事】
富山・高岡労働基準監督署は、所定労働時間を超える残業に対し、約定賃金を支払わなかったとして、障害者総合支援法に基づく就労継続支援事業所などを営む業者と同社代表取締役を労働基準法第24条(賃金の支払)違反の疑いで富山地検高岡支部に書類送検した。事業所で就労する障害者1人に対して、所定労働時間を超えて残業させた分の賃金を支払わなかったうえに、労働基準監督官の臨検に際して、「残業はなかった」旨の虚偽の陳述や書類提出を行った疑い。虚偽陳述・報告に関して、同法第101条(労働基準監督官の権限)違反でも立件している。
所定労働時間の4時間15分を超える残業時間は令和2年7月1日~令和3年3月31日の9カ月間で、約188時間に上っていた。不払い賃金総額は計19万4,646円。同労基署によると、法定外の時間外労働はなかったという。
同労基署は定期監督で違反を確認したが、同社は労働基準監督官に対し、「残業はなかった」という旨の虚偽の主張を繰り返した。さらに同代表取締役は社員に指示して虚偽の日報を作成させ、不払いの隠ぺいを図っている。同労基署は同社員に刑法第60条(共同正犯)を適用し、同代表取締役および同法人ともに、同法第101条違反で送検している。
賃金不払いについては、より罰則が重い最低賃金法第4条での送検も検討していたが、結果として見送ったとしている。理由は明らかにしていない。
【令和4年3月29日送検】