求職者にSDGs発信/名屋社労士事務所 代表 名屋 浩志
顧客との打合せでよく相談を受けるのが、「採用」である。
日本では少子高齢化が進み、労働力人口も減少している。団塊の世代が定年退職を迎え、新たな労働力の確保が深刻な問題となっている。コロナ禍では、将来への不安や今後も続く人材不足を理由に、廃業を選ぶ事業主も増えてきた。そのようななか、採用は企業にとって緊急性も重要性も高い課題である。
大手企業のように採用広告に費用をかけられない中小企業は、ハローワークの求人票や自社ホームページに工夫を凝らしているケースが多い。給与や待遇、知名度ではなく自社の歴史や独自技術、従業員が誇りをもって働く様子など、さまざまな角度から魅力を発信している。
しかし、魅力を発信しても、求職者から自己満足と認識されてしまっては意味がない。求職者が魅力と感じる会社とは何か、何を基準に会社を選ぶのかを知る必要がある。
そこで、就職活動生や転職希望者がどのような価値観のもと企業を選んでいるかを民間調査結果で確認すると、給与・待遇、知名度以上に、社会貢献度の高さやSDGsへの姿勢などで選んでいる傾向があった。
さらに、学生は学校でSDGsを学び、高齢者は就業確保措置でボランティア活動に取り組む機会が増えることもあり、ますます企業の社会貢献度などが注目されると予想される。
とくにSDGsは新聞記事などでよく紹介されており、社会貢献度の高い企業という大手企業のブランディングとして使われている印象がある。しかし、何らかの審査基準のクリアを必要とするものではないので、大手にしかできないわけではない。環境や人権に配慮した活動を行っていれば、誰でもSDGsの視点で発信することができる。
たとえば照明を蛍光灯から消費電力の少ないLEDに変えたり、来客のコーヒーをフェアトレードのコーヒーに変えたりすることも立派な活動である。このように通常の活動を少し工夫するだけで、SDGsの推進企業としてアピールできる。むしろ中小企業こそ積極的にSDGsを活用すべきだといえる。
まずはSDGsの知識を身に着け、自社で行っていることを洗い出し、ホームページで発信することをお勧めする。そうすることで、就活生や転職希望者が企業の将来性を感じてくれるかもしれない。
無理のない等身大の社会貢献を行い、その活動を発信し続ける企業の姿こそ持続可能が求められる現代のニーズに合っているのではと感じている。
名屋社労士事務所 代表 名屋 浩志【愛知】
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