【ひのみやぐら】感電防止へ十分な知識を
夏季に注意すべき災害として熱中症が最初に思い浮かぶかもしれないが、感電により被災する事故も多い。人体の内部を電気が流れることにより起きる感電災害。電動機械器具を使用しているときや電線工事などで発生するケースが、典型的な例といえるだろう。労働災害のなかでは、致死率が高いので、しっかりとした対策を講じる必要がある。
気温、湿度が高くなる6~9月は、発汗によって身体に電気が流れやすくなる。皮膚の電気抵抗が低下することにより、感電災害のリスクが高まるというわけだ。また、軽装により肌の露出が増えるほか、暑さで絶縁用保護具の着用がルーズになることも原因として挙げられる。このほか、暑熱環境下で注意力が散漫になり、うっかり電気が流れる部分に接触してしまったり、台風や暴風雨など自然災害により、切れた電線に触れる危険もあるという。
もうすぐ8月になるが、経済産業省では同月を「電気使用安全月間」と定めている。関係団体に運動を集中的に取り組むよう要請するとともに、広く国民に知識と理解を求めているところだ。現場で働く人は、なおのこと電気を適切に取り扱うよう心掛けたい。
一方で、感電災害は電気工事以外の業務に従事している労働者も多数、被災している。ものづくりの現場には、電気ドリルやグラインダーなど多くの電動工具がある。感電のリスクは身近にあるにもかかわらず、依然として災害が後を絶たないのは、知識不足が原因のひとつにあるといってよいだろう。特別教育が必要な場合は、適切に実施するのはもちろん、低圧の電気でも危険であり、安易に考えないよう周知を図ることが求められる。
基本的な安全対策として、電気を取り扱う場合は、器具・設備の点検・整備、電源がきちんとオフになっていることの確認、絶縁用保護具の適正な使用など、注意して作業に当たりたい。
電気は目に見えないので、危険がどこにあるのか分かりづらい。自然、警戒心が薄くなる。感電の危険を未然に防ぐためにも、意識を高めるとともに、十分な知識を得ておきたい。