【ひのみやぐら】巡視は第三者の視点が重要
前号の別冊付録(関連=安全衛生パトロールの勘所/安全スタッフ編集部 編)で「安全衛生パトロールの勘所」と題し、職場巡視時のポイントをまとめた。本文で指摘しているが、安全パトロールには、目的、実施者の違いでいくつかの手法がある。日常行うパトロールでは、管理者や担当者以外に協力会社や他職場といった人たちと行う場合があり、さらには女性、現場に詳しくない事務系など新鮮な目を入れてチェックする取組みが見られるとした。つまり、職場関係者以外の第三者の目を入れると、パトロールが効果的になるというわけだ。
少々、斜めから見た言い方をすると、毎回パトロール者が同じでは、チェックすべき点が似たような箇所になりやすい。人間にはクセがある。気になる箇所が、無意識のうちに毎回同じになることが懸念される。チェックリストに沿って確認しているつもりでも、評価の仕方に偏りがでてしまうこともあるだろう。最終的には不安全箇所の見落としにつながりかねない。
また、会社の事情をよく知っている人の場合、その職場を慮ってなかなか厳しく指示できないという問題もある。パトロール結果については、不安全箇所や不備は改善に着手することになる。改善には、すぐできるもの、どうしても時間が必要なものなどランク付けをして考えなければならない。とくに時間や予算がかかる場合、現場で働く人の負担となりかねないことから、「気遣い」をしてしまう。指摘に関して、歯切れが悪くなりやすいのだ。
パトロール者自身が、長年その会社で働いていると、安全衛生上問題があっても、気がつかない場合がある。災害がなく、職場に不具合を感じない状況が続くと安全と容認してしまい、危険があっても疑問に思わなくなる。第三者であれば、すぐに「おかしい」と思うことが、現場に居過ぎることで客観的な視点が乏しくなるのだ。
今号、特集Ⅰでは神興建設の協力会と二人三脚で進めるパトロールを紹介している。協力会社から毎回1社が輪番でパトロールに参加することで、常に新鮮なものの見方ができるというわけだ。
岡目八目という言葉があるように、傍目のほうがよく見えている場合もある。