ウェルビーイングに関与/社労士事務所みもざコンサルティング 金井 麻之美
「人を大切にする企業」づくりから「人を大切にする社会」の実現へ――社労士の活動は、SDGsがめざす、すべての人が健康で幸せに暮らせる社会、働きがいも経済の成長も両立できる社会の実現につながるものとされている。
SDGsはだいぶ耳に馴染むものになってきたが、これに次ぐ未来へのキーフレーズとしてGDW(Gross Domestic Well-being)が挙げられよう。GDWは国内総充実のことで、GDP(国内総生産)とは異なり、国民が心理的に体感できる幸せの総量を測る指標である。GDWのWはWell-being(ウェルビーイング)であり、肉体的、精神的、そして社会的にすべてが満たされた良好な状態にあることを意味する。私には、SDGsを見据えたその先の社労士としての活動は、GDW向上の一端を担っているように思える。
先日、ホワイト企業大賞というアワードを知る機会があった。ホワイト企業といえば、長時間残業がない、給与が高い、ハラスメントがないといったイメージが先行するが、このアワードの定義は「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にする企業を表彰する」というもの。また、近年、名だたる企業がウェルビーイングを経営理念に取り入れ始めていることなどを鑑みるに、企業としてのウェルビーイングを社会に明示・発信し、それに共感、共鳴する個人が集まることで、双方のウェルビーイングを追求する流れができつつあるのではないかと感じる。
ある就職情報サイトによると、2023年3月卒業予定の大学生を対象とした調査において、就職活動の際、企業のビジョンやパーパス(存在意義)を重視すると回答した学生は約8割に上った。先述したウェルビーイングを包含した企業理念を持つことは、未来の社会を担う若者にとって、魅力的な企業として刺さる要素になり得そうだ。
また、興味深いことに、肉体的、精神的にも健康で、社会の中で生きがいを感じている状態の社員は、そうでない社員と比べ、生産性と売上げが1.3倍、創造性が3倍、欠勤率や離職率も低下するという調査結果もある。そのような社員が多数いる環境ではシナジーが起きやすく、組織は活性化するだろう。ウェルビーイングを経営に用いるメリットは計り知れない。
激動の時代でも、幸せでありたいと願う人の想いは変わらない。人にかかわる社労士は、個人も企業も社会もあらゆる側面のウェルビーイングに関与できる重要な職業なのだと胸に刻み、未来を見据えて活動したい。
社労士事務所みもざコンサルティング 金井 麻之美【山梨】
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