【主張】新改善基準の適正運用へ

2022.09.22 【主張】
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 トラック運転者の労働時間等改善基準告示の見直し案が、労働政策審議会の作業部会でまとまった(関連記事=トラック運転者 休息期間の下限は9時間 改善基準を見直し 労政審・作業部会報告)。先行して方向性が固まっていたバス・タクシーと併せて、令和6年4月から施行される予定だ。

 事業者が確保すべき1日の休息期間の下限をバス・タクシーと同様に1時間延長するなど、労働時間短縮に向けた対応を図る。一方で、使用者側の要望を受け、特例として休息期間を分割して与える際に確保しなければならない1回当たりの時間数を、現行よりも1時間短い「3時間以上」に緩和する方向だ。分割の濫用によって運転者の疲労が蓄積することがないよう、施行後は、労働基準監督署による適切な指導が必要だろう。

 作業部会の議論では、大幅な拘束時間の削減を訴えた労働者側と、荷主都合による荷待ち時間発生を理由に挙げ、総拘束時間引下げや休息期間拡大に難色を示す使用者側との意見調整に多くの時間を費やした。その結果、1カ月の拘束時間の上限を「原則284時間、最大310時間」とし、現行基準から9~10時間短縮する方針を打ち出している。休息期間は、使用者側が求めた複数日平均による下限を設けず、一部の長距離運送を除き、バスなどと同様に1日9時間を下限に設定した。

 一方で、業務の必要上、勤務終了後に9時間以上の休息を与えるのが困難な場合に行える休息期間の分割については、使用者側の要望を受け入れた。分割後の休息期間の下限が現行よりも短くなり、2分割が限度のバスを超える3分割まで可能にする。労働者側は、3時間を中心とした3分割が連続した場合、休息による疲労回復につながらないとみている。

 このため厚労省では、施行に当たって発出する通達のなかで、分割付与は休息の与え方として本来好ましいものでないことを明記する方針だ。

 過重労働防止を目的として改正を行うにもかかわらず、現在よりも疲労が解消しにくい事態を生じさせては元も子もない。休息期間の特例を含め、新改善基準告示が趣旨に沿って適切に運用されるよう、厚労省には関係者への周知と指導の徹底を求めたい。

令和4年9月26日第3370号2面 掲載
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