適切な評価制度こそ重要/横山社会保険労務士事務所 横山 弘美
私は、平成8年に福岡県北九州市で社会保険労務士事務所を開設し、平成17年に労働保険事務組合、平成22年に建設業一人親方団体の認可を受け現在に至っている。
開業当初は苦しい思いもしたが、今は、中小企業はもとより、上場企業の子会社、地場大手、外郭団体など従業員数千人規模の事業所まで関与させていただいている。
開業歴も長くなると、関与先の倒産という予期せぬ出来事に遭遇することがある。
倒産するたびに残された従業員に離職票を発行したり、個別の相談に乗ってきた。過去の経験から倒産させる経営者の資質を考えてみると、受注先が固定している下請の建設業や製造業は構造的に利益が出る仕組みを作ることが難しいといえそうだ。
営業力がないので、頭では分かっていても安い受注価格で仕事を受けざるを得ず、利益が上がらない仕事を繰り返し受注し、じわじわと資金繰りを悪化させ、最後には不渡りを出してしまうケースが多い。
逆にサービス業や小売業は、結果がすぐに出るので、少し儲かると高級車を乗り回したりする。しかし、社員の給与水準は低く、非正規雇用率が高く「代わりはいくらでもいる」と安易に考える。そのため有能な社員は辞めてしまい「なんであんな人が?」と思うような無能な人が幹部になったりして、気が付いたときには業績は悪化、倒産せざるを得なくなったケースなどがあった。
「ヒト・モノ・カネ」を経営の3要素と呼ぶが、経営者は継続してお金を儲けることができる仕組みを作るのが一番の仕事だ。
利益を上げ続けることが従業員の安心と幸せにつながる。
キャッシュフローを一番生み出すのはヒトである。長期的な目標を立て、それを実行し、社員を意のままに動かせる幹部社員を何人も育て上げることができる経営者は最終的に事業を伸ばすことができる。
そのためには従業員の成果・能力を正当に評価する人事制度の導入が不可欠となる。
介護業界でも、今春のキャリアパス要件Ⅲもしかり、人事評価制度に基づく処遇改善加算が新たに導入された。
従業員の満足度が生産性の高さにつながる。今後も従業員が働きやすい組織の構築や風土づくりを通じて、これまで以上に経営者や従業員から信頼される社労士であり続けたいと考える。
横山社会保険労務士事務所 横山 弘美【福岡】
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