信頼欠かせぬ改善提案/ひじかた社労士事務所 土方 聡子

2022.10.16 【社労士プラザ】
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ひじかた社労士事務所 土方 聡子 氏

 社会保険労務士の資格を取得し、今後どのように仕事をしていくのか先が見えない時に経験した、5年あまりの労働基準監督署での労働相談員の仕事が、自分の社会保険労務士の基礎を作っている。

 当時は、リーマン・ショックにより、雇止めになった労働者の相談がひっきりなしにあり、仕事も住居も同時に失う派遣切りなど、ニュースでみる世界が目の前に起きていることに衝撃を受けた。あまり馴染みのない労働基準監督署へ来て、怒り泣きながら話をする労働者から事情を聞き、法律上できることとできないことを整理していく仕事である。

 老若男女問わずさまざまな人の話を聞く仕事だったが、とくに気を付けていた点がある。それは法律に基づいた対応をするために、事実と感情を切り分けて話を聞くことである。

 労働相談員になりたての頃は、意識せずに話を聞いていると労働者の感情に飲み込まれ、とくにパワハラの話を聞いた時は、あたかも自分がパワハラを受けたかのように感じることもあり、相談終了後はどっと疲れが出てしまうことがあった。

 知識や経験が乏しいなかで、法律や判例、事例を多く勉強すればするほど、目の前にいる相談者の役に立つことが実感できたため、必死になって勉強した。

 このような労働相談員の経験により、会社とのトラブルがどのように発生し、労働者がどのような感情を抱き行動するか、ある程度予測がつくようになった。ボタンの掛け違いのような小さな出来事から大きなトラブルになることも多々ある。トラブルはできれば避けたい。「会社の労務管理をきちんと行い、無用な労働トラブルを防ぎ、働く環境が少しでも良くなるサポートをしたい」という社会保険労務士としての自分の役割の原点である。

 社会保険労務士は人に関する専門家であると同時にサービス業であることを強く感じる。会社が繁栄し、そこで働く従業員が安心して働ける環境のサポートをするためには、会社からの信頼を得る必要がある。改善すべき点があっても、聞く耳を持ってもらえず拒絶されてしまえば何も為すことはできない。

 会社の話をしっかり聞き、多方面から状況を把握分析し、改善に導く必要がある。すぐに改善できる時もあれば、ゆっくり改善へ進む場合もある。速度は会社によってさまざまである。会社の特長を活かしながら、コミュニケーションの質を上げ、予防医療を中心とした主治医のような社会保険労務士としての仕事をしていきたいと思う。

ひじかた社労士事務所 土方 聡子【愛知】

【webサイトはこちら】
https://hijikata-sr.com/

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令和4年10月17日第3372号10面 掲載
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