オーダーメイドで対応/シンシア社会保険労務士法人 安達 敬子
近年の目まぐるしい社会情勢の変化や、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ここ数年、多種多様な業種の企業とのかかわりが増えている。
企業ニーズに応じて臨機応変に対応することは、社会保険労務士として当然のことであるが、企業との信頼関係を構築し、社会の変化や状況に応じたオーダーメイドの労務管理はこれからの時代にますます求められている。
私が開業登録した翌々年に当たる令和2年は、新型コロナウイルス感染症が広がり、雇用調整助成金の申請支援に明け暮れた。スポットでお受けした案件は、そのままでは申請できない案件ばかりであった。
そのような時、企業経営者には、法的な問題を指摘することからではなく、同社における今までの労務管理の歴史を伺い、なぜそのような給料計算を行っているのかなど、理由や事情を理解することに努めた。
申請するための方法を考えるのは、その次の段階なのである。
傾聴に努めながら、企業との信頼関係を構築していくことによって、補正が必要な部分、たとえば、残業手当の未払いなどに関しても理解が得られ、ほとんどの企業で申請が可能となった。このようなかかわりを通して、企業の労務管理の歴史や経営者哲学を尊重する姿勢は、私のその後の仕事にも活かされている。
新型コロナウイルス感染症の影響に加え、物価高、賃金引上げなど企業にとって課題が山積している。また、人材採用や雇用維持のためには、その企業の働き方改革も実現していかなければいけない。
たとえば、男性の育児参加に関しては、法改正情報にとらわれると育児休業取得に目が行きがちだが、「一定期間残業をしない」、「一定期間短時間勤務をする」といった方法もある。働き方改革には、意識改革も必要である。
私は民間企業や社労士事務所で35年ほど勤務してきたが、この間の労務環境の変化は目まぐるしい。育児を担う世代の、先輩上司たちは、自分たちが若い頃「熱くらいで休むな」と言われ、年次有給休暇については、取得しない者が表彰されていた時代もあった。意識改革は簡単なことではない。
これからも、法改正対応ばかりにとらわれず、唯一無二の企業の労務管理の歴史や経営者哲学を尊重していきたい。そして、信頼関係を築きながら、多種多様な企業の状況と社会の変化に応じたオーダーメイドの労務管理支援に努めていきたい。
シンシア社会保険労務士法人 安達 敬子【新潟】
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