【安全衛生・お薦めの一冊】知っておきたい!安全衛生の世界的動向

2022.11.28 【書評】
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ビジョン・ゼロの潮流評価

 「労働安全衛生」という言葉は現在、かなり幅を持つものになってきている。そんな最先端の状況を網羅的に学んでもらおうという野心的な試みが本書である。

 著者は「労働安全衛生」が世界的な動向として、安全から健康、心身の良好な状態を意味するウェルビーイングへと拡張していく潮流を指摘。最新動向の一つとして「ビジョン・ゼロ」を紹介する。もともとは欧州で交通事故の撲滅のために掲げられたもので、労働災害をゼロにするという直接的な目標ではなく、労働災害ゼロに向けてのプロセスを意味しているという。今すぐには実現不可能でも、災害ゼロに向けたプロセスを着実に進めることを重視。安全だけでなく、健康、ウェルビーイングの3要素を含んでいるのが特徴だ。

 著者は、これら3要素を掲げるだけでなく経営の一環として、企業トップがマネジメントの視野に直接入れるようにしたところが新しいと評価する。安全に対する考え方を再考させられる一冊になっている。

(向殿政男著、中災防刊、TEL:03-3452-6401、A5判、88ページ、税込880円)

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2022年12月1日第2415号 掲載
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