2024年問題に対処/川﨑幸男社会保険労務士事務所 所長 川﨑 幸男
私は、社会保険労務士として開業してまだ2年1カ月と日が浅い。
大学卒業と同時に入社した大手電機メーカーでは、社内システムの企画・設計・開発・運用と、30年以上一筋に働いた。
M&Aで半導体事業売却とともに、売却先の海外メーカー国内部門のシステム部隊として転社の経験もした。そして、海外メーカーに勤務していて常に自分が整理解雇や退職勧奨の対象になるのではないかと危惧する日々が多くなり、保身のために一念発起して資格取得をめざし、選んだ資格が社会保険労務士だった。宮崎市で30年以上社会保険労務士・行政書士事務所を経営している長兄の存在が背中を押してくれた。
しかし試験合格までに幾年も費やしてしまい、令和元年11月8日に合格証書を受け取った時は、既に60歳を迎えていた。海外メーカーからは57歳の時、退職勧奨を受け、早期退職の選択をしていた。その後、毎日が日曜日ともいかず商工会議所など公的機関で販路開拓のための委嘱業務を継続していた。
そして、令和2年11月1日、待望の開業である。62歳、自宅兼事務所でのスモールスタートだった。
社会保険労務士としての初めてのタスクは、全国社会保険労務士会連合会が受託した令和3年度中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業の派遣専門家としての業務である。
労務管理の専門家である社会保険労務士が、労働時間の上限規制への対応や同一労働同一賃金の実現など、「働き方改革」に取り組む中小企業・小規模事業者を訪問して、ホップ・ステップ・ジャンプの3段階の相談支援をして解決へと促していく厚生労働省の無料相談サービスである。
初めて訪問した運送業を営む代表取締役から「2024年問題」といった言葉を聞き、2024年問題への具体的な対応策で会話が弾んだ。
2024年問題とは、働き方改革関連法による労働時間法制の見直しにおいて適用が猶予されていた、運送業における自動車運転業務者(ドライバー)の残業時間上限規制(年960時間)がスタートし、その遵守が義務化されるものである。
しかしながら、運送業界は長時間労働・低賃金が常態化しており、「2割長く2割安い」職業とも指摘される。中小企業が99%を占める運送業界において、働き方改革関連法への対応をはじめ、人事労務・賃金制度の適正化・適切な対応は喫緊の課題だ。今こそ、社労士の出番である。
川﨑幸男社会保険労務士事務所 所長 川﨑 幸男【東京】
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