高齢者の活躍促進へ提案/朋労務コンサルタントオフィス 藤原 朋子
平成25年の高年齢者雇用安定法改正以来、企業に対して65歳までの雇用確保措置が義務付けられている。改正当時、ほとんどの企業は60歳頃を定年とし、その後65歳までは有期雇用契約を結ぶという継続雇用制度を導入していた。
ところが最近、就業規則改定の相談を受けていると、65歳以上への定年引上げなどを検討する企業が増えていると感じる。
厚生労働省から発表されている「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果においても定年引上げを行う企業の割合は増えており、そのニーズが高まっているのは間違いないと思われる。人手が足りず、新規の求人を出しても採用に結び付かないというなかで、企業としては今いる人材を大切に、長く働いてもらいたいという思いなのであろう。
一方の働く側についても、60歳以上の58.9%もの人が65歳以降の就労を望んでいる(内閣府「令和4年版高齢社会白書」)ということであるから、企業と働く側双方のニーズが一致していると考えられる。
今年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会の確保を努力義務化した。ここでは、65歳までの雇用確保措置とは異なり、定年引上げや継続雇用制度の導入に加えて、70歳まで継続的に業務委託契約を締結できる制度の導入なども選択肢に加わっている。雇用関係を解消して仕事を提供する、ということを提案しているのである。
業務委託の場合、委託できる仕事の内容、納期、報酬の支払い、賠償責任、保険、労働者性など、雇用関係とは異なる委託ならではの留意事項は多く、制度として導入するのであれば、これらを十分に検討し、準備しておくことが必要である。
65歳を超えて働き続けようとする場合、自由な時間を大切にし、健康状態にも気を配りながら、無理のないようにペースを落として働くということを望んでいる人も多い。そうした人々にとって、自らのペースで働くことのできる業務請負という新しい働き方は、選択肢として十分にあり得ると思われる。
平均寿命が延び、高齢者とはいってもまだまだ元気で働き続けることが当たり前となりつつあるが、その働き方に対するニーズは企業側も働く側もさまざまである。
社労士としては、長年にわたって企業のなかで働いてきて培った知識、技術、能力を生かしながら生涯現役で働き、企業に貢献してもらえるような制度作りを積極的に提案していきたいと考えている。
朋労務コンサルタントオフィス 藤原 朋子【愛知】
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