【ひのみやぐら】繁忙期のヒューマンエラー

2022.12.12 【ひのみやぐら】
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 年齢を重ねてくると1年という歳月は驚くほど早い。慣れと緩和が入り混じった3年目のコロナ禍も、あっという間に過ぎていこうとしている。

 読者諸兄の事業場でも、年末年始に向けて慌ただしいことだろう。年末は納期、工期が設定されていることが多く、休暇の関係で稼働日数が少ない。忙しいなかで、大掃除や機械の保守点検など不慣れな非定常作業が増えていくにもかかわらず、スケジュールがタイトになる。

 何かと慌ただしい季節のなか、心理的にも落ち着かない状態が続くことになる。気持ちが焦っていると危険を見落としたり、あえて見過ごすなどヒューマンエラーを起こしやすい。人為的なミスが起こりやすい時期であるからこそ、注意力を高め、慎重を重ねて作業に当たりたい。

 年末の繁忙期に起こりやすいヒューマンエラーの原因としては「パニック」が挙げられる。忙しさのあまり想定外の事態に遭遇したとき、慌てふためくことで、さらなる惨事を引き起こす。パニックに陥ると通常なら問題なく対応できたことが、正常に処理できなくなる。常に平常心を心がけ、予想し得る事態を事前に想定し、万が一のときにも対応できるようにしておきたい。

 一方で、「近道行動・省略行動」も起きやすい。忙しくなると、「これくらいはいいだろう」「この作業は行わなくても問題ない」と勝手な判断をしてしまい勝ちになる。人間には最低限の力で効率よく成果を出したいという本能があり、「忙しさ」を免罪符に手間となる部分は省いてしまう。近道行動をさせないためには、日ごろから作業手順を守るよう教育することが大切だ。

 似たような原因として「慣れによる手抜き」も考えられる。時間を短縮するために、作業を省略する。意図的に行うだけに悪質だ。とくに現場に慣れて危険を軽視するようになったベテランが起こしやすいので注意したい。

 冬である年末は、地面の凍結などにより転倒災害が発生しやすくなったり、感染症対策も実施しなければならない。なにかと忙しいからこそ、心と時間に余裕をもって業務に当たりたい。

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2022年12月15日第2416号 掲載
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